鉄の板と棒があります。
これをくっつけてみます。
右と左。
どちらもしっかりくっついてますが
見た目も強度も違います。
作り方も かかる時間も 全く違います。
鍛鉄(ロートアイアン)がどのようなものなのか。
ここで分かりやすくご紹介したいと思います。
長くなるので お時間があるときに じっくりどうぞ。
まず左の作り方からいきます。
使う道具や行程は工房により様々で
端折ってる部分もあります。
これです ↑
STEP 001
鉄板に火を入れる
真っ赤になるまで熱します。
STEP 002
鉄板に穴をあける
鉄が熱いうちにカットハンマーを打ち込みます。
これがカットハンマーです。
穴があきました。
STEP 003
再度 鉄板に火を入れる
もう一度 鉄板を熱します。
STEP 004
穴を大きくする
今度はこの棒を使って穴を広げます。
どんどん打ち込んでいきます。
アンビルに空いてる穴を使います。
鉄板の表面を叩いて平らにします。
STEP 005
裏側も同じように熱して 棒を打ち込む
表をやったら今度は裏。
こうして両面きれいな穴になるのです。
STEP 006
棒に火を入れる
真っ赤になるまで熱します。
STEP 007
先端を叩いて細くする
エアーハンマーを使って先端部分を細くします。
始めに細くする部分にぐるりと刻みを入れておくと
より正確にきれいにいきますが 今回は省略しています。
細く丸くするのも治具を使うと正確です。
いつの間にかアンビルの上は道具だらけ…。
STEP 008
穴から抜けないための段差を作る
細くなった先端に鉄のキャップをかぶせて
ハンマーで叩きつぶします。
上から叩かれることによって
根元に肉が寄って太くなります。
細い部分と太い部分の段差が大事なのです。
STEP 009
穴のサイズと合うように微調整
鉄板の穴に通します。
穴から抜けないようにしてくれてるのが
前行程で大事だと言った段差です。
STEP 010
万力にしっかり固定
穴に通したままの状態で万力にセット。
これでもか!ってくらいギッチリ挟みます。
STEP 011
棒の先端に火を入れる
赤くなるまで先端を熱します。
STEP 012
先端をつぶす(リベット)
ハンマーでつぶしていきます。
ただ打つのではなく
形状を見ながら打ち込んでいくのは
職人技です。
やっと完成です。
次は右のものを作っていきます。
STEP 001
鉄板と鉄棒をセットする
STEP 002
溶接する
この光は目で見てはいけません。
ちゃんと溶接面(仮面みたいなヤツ)をして作業します。
こんな感じでくっつきます。
このように1周ぐるりと溶接します。
そのあと 削ってなめらかに仕上げます。
溶接と鍛鉄の違いを簡単にまとめると
溶接の方が圧倒的に早く正確に作れます。
鍛鉄は手間と時間がかかります。
今回の『接合』に関して言うと
溶接はただくっつけるだけですが
鍛鉄はそれ自体が理にかなったデザインとなり
表情をもたせ 強度の面でも優れたものとなります。
釘や接着剤を一切使わず組み立てる
日本の伝統建築と通ずるものがあります。
鍛鉄工房ZESTでは 溶接も使いますが
鍛鉄でしか出せない表現のすばらしさを
大切にしています。
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