お別れ

約8年位だと思うんですが、修行当初から着ている作業服。

正直かっこ良くは無いけど、動き易く丈夫でこれを着ていると
火花が多い鉄の作業への安心感があり気に入っていました。

でも最近ではあちこち破れ、袖口が大きく裂けたりしてきて
一般的には頑張ってるねってなるより
ちょっとみすぼらしく見られますよね。

まだ着たいけどお客様が見たら
大丈夫この人?ってなりそう。

破れてない所も生地が薄くなっていて、
リペアするくらいならいっそ気持ちも新たに新品の作業服を買い、
お別れしましょうと一応記念に写真を撮ることにしました。

淡々と無感情に撮ってゴミ箱にポイッとする。
何の躊躇もなくポイッとする。
洗ってもちょっと臭いし、いい加減ポイッとする。

そんな一連の流れをイメージしながら、
自分に言い聞かせながら
いろいろな作業服の破れた各部分をパシャっとしてると
ゴミ箱に捨てるイメージの間にこの作業服を着ていた時期の
沢山の思い出なんかがフェードインしてくるんですよね。

「ぶきっちょでリキんで何本もハンマー折ったなぁ‥」

「次男生まれたっけなぁ‥」

「毎日馬鹿にされたし不安でたまらんかったなぁ‥」

3枚目撮り終える頃にはウルウル始まってしまっていて、
もう目の前にあるのはただのボロい作業服じゃなく
共に戦った戦友か自分の分身のようになっています。

「…そういえばさっきゴミ捨てた時生ゴミとか結構入ってたし
今はなんかかわいそう。せめてゴミ袋が新品になったタイミングにしよ‥。」

とか捨てない言い訳みたいな事を探し始め、
気付かなかった破れを見つけては

「あぁ!こんなとこもっ!ごめんなぁぁぁ」

で、結局最後には

 

「捨てるなんて言ってごヴェーん!(号泣)」

 

とっておいてもどうしようもないんですが
どうやらこの作業服は自分にとって
【捨てられない物】では無く
【捨てちゃダメな物】のようです。

お別れ、
出来なかったー。

けどなんかスッキリ。
いつか何かに生まれ変わらせてあげよう。

 

りょ

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