千葉県印西市にあるメタルアートミュージアム。
入り口の扉を作り替えるご依頼をいただきました。
会社員時代に近所に住んでいたことがあり
気にはなっていましたが訪れたことは無かったんですよね。
(妻は長男と来たことがあるそうです)
数年後、まさかこんな形で
訪れることになるとは。
芸術への造詣の深い商店の社長さんが
地元の芸術家を応援したくて建てた私設美術館。
その方が亡くなって閉館し5年ほど経つそうです。
ここに常設の展示をしていたり、
元々の扉を制作されたのは
金属彫刻家の尾崎悟さん
↑
(クリックで尾崎さんのHPに飛びます)
今やイギリス皇室や
世界のハイエンドな人が来る
何千万や億で作品が売買される
国際的な展覧会に出展し
評価されているすごい方。
でも認められるまでは
当然楽な道ではなかったそう。
この扉は芸大を卒業し、
初めて一人で作り納めた
とても思い入れのある扉だそうです。
自分の道の覚悟を決めた扉。
使われることがなくなってしまった
美術館が
業者に売却されることになり、
知らない人に使われるなら
扉を自分のところに戻したいとのことでした。
(とても気持ちがわかります!
)
凹凸な部分は磨いてあり、近づくと自分の姿が逆さに写ります。
心の外面と内面を表現されてるそうです
扉の表面は5ミリ厚のステンレス。
火に入れ表面を荒らし荒々しく仕上げ、
安易な者を拒絶する様に。
内側は真鍮で柔らかい感じに仕上げてあり
勇気を出し覚悟を決めて入った者を優しく送り出すように。
事前に新規の扉の仮合わせを兼ねて
尾崎さんの扉をはずしに来ました。
建物に対してかなりぴったりに作られていたり
300kgくらいある重量なので、まず外すのが大変!
取り付けるのもかなり大変だったよう
なんとか苦労の末に外すことができ、
横倒しにした時にサーっと綺麗な砂が結構出てきました。
この砂は扉の完成時に
真っ白なきれいな浜で撮りたいと
後輩と静岡まで行った時のものだそう。
当時のことを感慨深そうにお話くださいました。
新たに作る扉は、
ベンダーというZESTには無い大きな機械で
鉄板を曲げなくてはいけないので
(もちろん設計は自分でしています)
尊敬するアーティストの佐々木さんの仕事場にある
ベンダーをお借りしました。
人生の冒険を楽しんでいる大人たちが集う
作業場に併設された異空間すぎるこの写真の場所や
佐々木さんについてもいろいろ書きたいですが
長くなるのでまた別の機会に。
佐々木さんの協力を得たことで扉が完成し
無事納めることができました。
デザインはとてもシンプルで
表面の板を斜めに貼ったくらいに。
ハンドルだけ鍛造
(ここは素地の油仕上げにすればよかったなぁ)
今回とても強く感じた事があります。
自分の仕事は
ただものを作るだけでは無く、
自分の人生に覚悟を決めた
いろいろな人のストーリーが
交差する場面や
新たな始まりに立ち会い
その時の喜びも共有させていただける
幸せな仕事だと再認識しました。
りょ